遺言書作成のご相談と遺留分
お子さんがいらっしゃらないご夫婦から、遺言書作成のご相談をいただきました。
お話をうかがうと、遺言書を作成していないと相続手続きが大変そうなケースでしたので、作成するメリットを説明して遺言書を作成することをおすすめしました。
子がいない夫婦の場合には、遺言書を作成しておくことは相続手続きの際にとても有効です。
その説明は、 遺言書を作成した方が良いケース でご案内しましたが、今回は「遺留分」についてご案内します。
配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合の遺留分は?
ご相談をいただいたご夫婦は、互いに全財産を相続させる内容の遺言書をご希望でしたが、心配なこととして次のような質問をいただきました。
「兄弟がいるのですが、遺留分はどの程度になりますか?」
まず、配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合の法定相続割合は次のとおりです
配偶者 ⇒ 4分の3
兄弟姉妹 ⇒ 4分の1(全員で)
兄弟姉妹が相続人になる場合の法定相続割合が4分の1なので、兄弟姉妹の遺留分は8分の1です!と言ってしまいそうになります…が、
質問の回答は
「兄弟姉妹が相続人になる場合、遺留分はありません」です!
つまり、配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合に遺言書を作成すれば、遺留分を請求される心配がなく記載内容の実現が可能となります。
「兄弟姉妹には遺留分はありません」、だから…
配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、兄弟姉妹には遺留分はありませんが、もちろん配偶者には遺留分は認められます。
そして、配偶者の遺留分は上記の法定相続割合(4分の3)の半分ではなく、兄弟姉妹に遺留分がないので、全体の2分の1となります。
亡くなった方が、配偶者に一切の財産を相続させない内容の遺言書を遺していた場合でも、配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合には、配偶者は遺留分として半分の財産を請求できることになります。
(配偶者に一切の財産を相続させないとは、相当な事情があると思われますが…)
まとめとして
遺言書を作成する際には、遺留分の請求をされる可能性まで検討する必要があります。家族のために遺言書を遺しても、遺留分を侵害された相続人から請求をされた場合には、遺言書の記載どおりに相続・遺贈を実現させることができない可能性があるからです。
ただし、上記のとおり配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合には兄弟姉妹に遺留分がないので、ご相談をいただいたご夫妻は、ご希望どおりの遺言書に記載する内容の実現が可能となります。