Archive for the ‘遺産整理’ Category

外国籍や外国籍だった方の相続

2021-07-11

先日いただいたご依頼は、外国籍から日本へ帰化をした方の相続手続きでした。
外国籍から帰化をした方、また外国籍の方の相続手続きはもちろん可能ですが、手続きのために必要になる書類は帰化前の国籍等によって異なります。相続手続きには、相続関係を確認するために、出生から死亡までの親族関係がわかる書類が必要です。

帰化をした方の場合には下記の書類が必要になることが予想されます。

①帰化前の本国にて戸籍謄本など
帰化前の国籍が、韓国、中国、台湾といった戸籍に相当する制度がある(または、あった)国籍の場合、帰化以前の戸籍や家族関係を証明する書類を準備する必要があります。
その他の国籍の場合は、出生証明書、婚姻証明書などの書類を準備する必要があります。

②外国人登録原票の写し
外国人登録原票には、平成24年7月9日の外国人登録原票外国人登録原票が廃止される以前に、 居住地の市町村に登録していた個人情報が記載されています。出入国在留管理庁に交付の請求をします。

③帰化した後、死亡までの戸籍謄本など
帰化した後は、日本人として戸籍などの書類が取得できるので準備します。

上記の書類の他にも、必要になる書類がある場合があります。
また、遺産分割協議書など相続する方法を証する書類も必要です。

遺言書の作成をおすすめします
外国籍から帰化をした方、また外国籍の方の相続手続きをする際には、必要になる書類などの準備が煩雑で、書類を手配する費用も高額になることが多いです。しかし、遺言書がある場合には必要になる書類が少なくて済みます。
手続きが煩雑になることや費用のことを考えると、遺言書の作成をおすすめします。

「法定相続情報証明制度」をご利用いただけません
お亡くなりなった方が外国籍から帰化をした方、外国籍の方の場合、または相続人の中に一人でも外国籍(または、外国籍だった)の方がいる場合には、「法定相続情報証明制度」をご利用いただけないのでご注意ください。

まとめとして
外国籍の方、また外国籍だった方が亡くなった場合の相続手続きは、必要になる書類の数や種類が多くなり、手続きに時間がかかるケースが多いので専門家にご相談いただくことをおすすめします。
また、生前に遺言書を作成するなどの準備をしておくことも、ご自身の亡くなった後に様々な相続手続きをする際に大変効果的ですので、ご検討されてはいかがでしょうか。

特別寄与は誰のため?

2021-05-15

「相続法改正のポイント~相続人以外の者の貢献について」としてご案内していました、
「特別寄与」についてあらためてお伝えしたいと思います。

あらためて「特別寄与」とは
相続人ではない親族も、無償で被相続人の介護や看病に貢献し、
被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした場合、
相続人に対して「寄与料」として金銭の請求をすることができるようにしたのが、
「特別寄与の制度」です。

ご依頼のあったケース
当相談所にご依頼をいただいたケースは、
お亡くなりなった方の唯一の相続人(子)が遠方に住んでいたので、
亡くなる前の数年間、近くに住んでいた「兄」と「兄の配偶者」が世話をしていました。

「無償」でという点について
亡くなった方への「療養看護」「その他の労務」は無償である必要があり、
謝礼金や給与などの労働対価を受取っていた場合は特別寄与にはなりません。
今回のケースでは、
無償で日常生活の介護や送迎をしていたので特別寄与に該当しました。

相続人ではない「親族」という点について
特別寄与は、「6親等内の血族」と「3親等内の姻族」に認められます。
逆に、親族ではない「内縁(事実婚)の夫や妻」や「親しい友人」には認められません。
今回のケースでは、
「兄」は2親等の血族、「兄の配偶者」は2親等の姻族なので該当しました。

特別寄与料の請求について
特別寄与者は、相続の開始後、相続人に対して特別寄与料として金銭の支払いを請求します。
相続人と協議が整わない場合には、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求します。
今回のケースでは、相続人から特別寄与料の提案があったので、
税理士さんが算定した金額によって協議されました。

まとめとして
特別寄与の制度ができる以前は、
義親の介護などに努めてきた「長男の妻」の貢献が報われないケースが問題になりました。
もちろん、「長男の妻」のケースに限られませんが、
相続において不公平が生じる親族関係は多かったです。

特別寄与の制度によって、
亡くなった方の日常生活や介護に貢献した親族が報われることになります。
今回ご依頼があったケースのように、
「親族」であれば「兄弟姉妹」や「兄弟姉妹の配偶者」にも特別寄与が認められるので、
多くのケースで不公平が解消されることになるでしょう。

ただし、特別寄与料は相続人に請求するので、協議が調うことが困難なこともあります。
お世話になった方のために、財産を遺贈する遺言書を作成することも可能です。

特別寄与についてのご相談、お問合せ。
また、生前のさまざまなご準備つについてのご相談は当相談所までお問合わせください。

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