ご自身にもしものことがあった場合、認知症になる・介護施設に入所する場合など、ご自身の将来について不安を感じてご相談をいただくことが増えてきましたが、あわせて、これまで世話をしてきた子のことを心配する相談をいただきます。
- 自分が亡くなった場合、障がいがある子の生活が心配
- 自分が亡くなった場合、「引きこもり」の子の生活が心配
- 自分が亡くなった場合、未成年の相続人の生活が心配
障がいがある子や、引きこもりの子への生活支援は、多くの場合は親が行っています。
もし、その親が認知症、介護施設への入所、あるいは死亡などによって子の生活支援をできなくなった場合、誰が代わりに子の面倒をみてくれるのか・・・
いわゆる、「親なき後問題」ですが、障がいがある子、引きこもりの子をお持ちの方は、ご自身と子の将来について不安を感じます。
親としては、自分が元気なうちは自分生活支援をすることができるけれど、自分が認知症になったり亡くなった後のことが心配で、子が安心して生活できる方法がないかお悩みの方は多くいらっしゃると思います。
「自分が亡くなった後も、子や孫のことを信頼できる人に見守ってほしい」
自身が不動産の管理・運用・処分することが難しくなったときのこと、また自身が亡くなって相続が発生したときのことを十分に想定して、どのような手続きをするべきなのか対応を検討するべきでしょう。
このページの目次
今後の財産管理や相続について不安な場合の対応策として
家族信託を利用しない場合
家族信託を利用しない場合には、次のような対応が考えられます。
- 信頼できる親族や施設に、この生活支援の資金を贈与または遺言書を作成して遺贈する。
⇒ 信頼して任せた親族や施設が、長期にわたって責任を持って子の生活支援をしてくれるか保証がない。
⇒ 贈与、遺贈による税務的な負担が必要になる。 - 子に生活資金と不動産などを遺言を作成して相続させる。
⇒ 子が相続した財産を、必要に応じて計画的に使えるか保証がない。
⇒ 子の財産管理について監督を親族にまかせても、長期にわたって責任を持って監督をしてくれるか保証がない。
家族信託を利用した場合
家族信託を利用した場合には、次のような対応が考えられます。
- 親を委託者兼受益者、信頼できる親族などを受託者として信託契約を締結。
- 親が亡くなった後のために、障がいがある子・引きこもりの子を二次受益者としておく。
⇒ 生活のため、また後見人や施設からの請求に応じた必要な金額を給付する内容にしておく。
⇒ 委託者がしっかり生活支援をすることを監督する、信託監督人を置くことも可能です。
家族信託を利用した場合のメリット
今後の財産管理や相続について不安な場合の対応策として家族信託を利用して準備をした場合、ご自身が生きている間は、財産をご自身のために管理・運用などをしてもらい、ご自身が亡くなった後は障がいがある子、引きこもりの子のために生活支援をして欲しいというご希望を実現することができます。
親が亡くなった後には、委託者から信託契約の内容に基づいて、受益者となる子に生活費などの必要な金額が給付されるので、生前贈与や相続によって一括して給付をうけるよりも節度のある金銭管理が可能になります。
将来、子に後見人が選任された場合でも、後見人の権限は信託された財産には及ばないので継続的な生活支援が期待できます。
家族信託を利用したお手続きは十分にお話をうかがって対応策をご提案する必要があります。
家族信託についてのご相談は、当相談所をはじめ専門家にお問い合わせください。